「一拍子の打ち」とは 【森田文十郎範士九段の場合】

剣道

皆さんこんばんは。一の太刀です。

実は先日とある「寒稽古」に飛び入り参加させていただきました。

細かくはお伝えできませんが、そこでは厳しい稽古をされていました。特に「基本」に重点を置くものであり、改めてその「基本」の重要さを認識することができました。

参加させていただきありがとうございました!

では本題の剣道のお話です。

私が十数年前に再開した際、現実と理想のギャップに大変苦しみ、剣道関連の本を読み漁りました。

今の私をつくってくれたそんな書籍のご紹介を、今後ちょくちょくしていきたいと思っております。

本日は「一拍子の打ち」についてです。

剣道を続けていればどこかで聞いたことのある言葉かと思います。

二拍子、三拍子ではなく一拍子で打てと。

単純に考えると

「イチ」と数えている間に打ちを完結させるような速さでおこないなさいよ。

という「一挙動で打つ」意味のように感じます。

それは「速い面」

たとえば、「刺し面」のようなものなのか。はたまた別の意味のものなのか。

正直わかりません。

しかし、これを求めて剣道を行い、ついに自身も驚きをもって理解し、それを本にした先生がおります。

森田文十郎範士九段の著書 「腰と丹田で行う剣道」

「腰と丹田で行う剣道」

このタイトルを見て即決で購入しました。

私はどちらかと言いますと「伝統や格式」に重きを置きたがる傾向があるのですが、この「丹田」といった現代ではそれを自得している人がいるかどうかも怪しいものに、魅力を感じました。

また、剣道に十数年のブランクがあるが故に、あまり流通していないような通常とは少し違う手法で実力をてっとり早く養えないかと、都合の良いことを考えていたのでこの本でそれができるのではないかと考えたからです。

結論からいきますと、当然そんなに甘いものではありませんでした(涙)

森田先生の言うところの「剣の自然打法」は体得できておりません。

しかし、大いに感ずるところがあり、もともと肝がすわっている人はどうかわかりませんが、メンタルが弱い私としては「下っ腹(丹田)」に力が入ると心持ちがまったく違ってくることを理解できました。腰・丹田が重要であることを意識させてくれる大事な本であります。

一拍子とは関係ありませんが、下っ腹に力を入れる方法の過去記事も宜しくお願いします。

【驚きの結果!】知ってますか?「臍下丹田に力を入れる」方法
皆さん、こんばんは。剣道ブログを立ち上げて間もない一の太刀です。御贔屓に! 私は広告業界の端っこで働いているのですが昔から「ニッパチ」と言って2月と8月は売上が落ちると言われているのですが、今月は近いものがありますね。打開したい定...

左半身を忘れる

著者は現代剣道に通弊を感じております。

剣道選手権大会の優勝戦の写真を基に何十年も修行を積んできたものでも「左半身を忘れる」傾向の高い剣道の動きの難しさを指摘しております。

実は私もそうですが、似たような悩みを抱えた方も多いのではないでしょうか。

■一足一刀の間合いから打つ

大きく踏み込む必要がありますが、つい上半身も前に伸ばしてしまい、それが下半身の推進力にブレーキをかけてしまい、結果、思うほど距離を取った踏み込みができにくい。

■常に正対している

打突時は特に右半身、左半身に前後のずれが起こりやすく、正そうとすると距離がとりにくく、またどちらかの半身(左半身が多い)が十分に効いたものになりにくい。

などなど、上下左右のバランスの難しさを私は感じております。

また、踏み込んだ後、左足が跳ねて足の裏が見えるのはよろしくないとの教えを受けたことがありましたが、距離を取って踏み込もうとするとそれだけ左足が残りやすく…

あぁ、どうしたらよいのよ!!

と私は嘆きたくなることもしばしばございます。

森田先生は剣道の面打ちで左足が残ってしまっていたりするこの動きにどうしてもしっくりこなかったようです。

「刀を両の手で持つため難しくなり、両手で二本持っていた方が紛れがおこりにくい」と言っています。

剣道では両手で一本の刀を持つために、紛れが起こり、やることが多義に亘って、迷路に入り込み、その操作が正しく行われず、遂に余分の苦労をして居た。

それに伴い森田先生は二つの疑問をお持ちでした。

1、一拍子の打ち

2、茶巾絞り

茶巾絞りは高野(佐三郎)先生から教えられ耳にタコができる程で自分としては少しも疑ってはいないが、著者の尊敬していた武徳会出身の先輩が茶巾絞りなどいうものはないことであると言って居る由を高師の学生から聞き、(中略)

矢張りこの頃一拍子の打ちに就いて疑問を持ち始めていた。振り上げて打つのでは如何にそれがスムーズに行われても、上げ、下げの節ができる理であり真の一拍子ではない。二拍子と言わなければならない、節に要する時間は巧拙によって違いがあり、一様ではあるまいが、これは時間の問題ではなく種類の問題である。

これによれば「刺し面」などは、一拍子の打ちにはならないことになります。

剣の完全操作

きっかけは犬の飛び回る様子で、それを見て「ひらめくもの」があったようです。走り方の理屈から剣道に通ずるものが見えたと。この本にはこうあります。

このことを発見するまでの著書は人生五十の坂を越えてもなお永い間この問題で苦しめられ、苦労に苦労を重ねて来たが、ある時、偶然犬の飛び廻るさまを見て、多年宿題となって苦労していた、一拍子の打が解決し、同時に茶巾絞りに対する反対意見も苦にならなくなり、ハタと手を拍って快哉を叫んだのであった。(中略)

それからその理を剣技に結びつけて工夫して見ると、まことに工合がよろしい。剣道が楽になって来て骨が折れないのである。今迄の苦手の人とやっても大変らくに使えるようになり、興味の種類が異なって来て格段の相違がある。

この気付きとはどのようなものでしょうか。

■対角線活動の法則

・左腕が前方に出る時は、右脚も前方に出る

・右腕が前方に出る時は、左脚も前方に出る

この事は歩行の時に自然に行われるものであり、何の努力も必要としないもの。

この法則を無視しようとすれば多大の抵抗を感ずることになると言っています。

■腰の廻転

・左腰を右廻転すれば右に袈裟切りの振り上げとなる

私の解釈が正しければこのようになります。

要するに「腰の廻転」とそれによっておこる先の「対角線活動」と「体の移動」との三者が一体となって行われる必要があるとのことです。

■剣の完全操作の定義

剣道に於いて、腰の廻転と、それによって起る対角線活動と、体の移動との三者一体となって働くような体捌きで行う打突を剣の完全操作という。

さらには腰と丹田で行う剣道がどの様なものかを教えてくれています。

「この剣の完全操作は、腰で行うものであり、腰の廻転には丹田の力が必然的に伴うものであるから、この仕方によって行う剣道を、腰と丹田で行う剣道というのである。」

 

剣の自然打法

森田先生の言うところの「剣の自然打法」が一拍子の打ちとなるのですが、これを教授されたという高知の西野悟郎先生の映像が2017年1月19日現在、島野先生のHP上にでております。

KENDO LABORATORY

これを見ると、基本的な素振りの動きに似ています。

・右足をすり足で前に出しながら振りかぶる

・右足着地後、左足を引き付けながら振り下ろす

森田先生は「この「剣の自然打法」は正しい姿勢で丹田に力が入っていれば、自然に対角線活動が起こり、止めようとしなければ自然に続けられる」と言っています。

無心でやる一拍子の打法を体得することになる。

その他

この様な打ちでは左半身が効いていない

「現代剣道」と「腰と丹田で行う剣道」との比較も書かれております。

私が驚嘆したのはこの章のP71にある画像なのですが、パッと見てとても良い面打ちの画像のことを先生は「左腰左手の動き不足のため左足の流れた図」として説明されていたことです。

現代剣道は違う道を進んでいるのでしょうか…

本の構成

・技法編

一拍子の打ちとはどのようなものかなど、具体的な方法を書かれています。

・心法編

呼吸法、禅、他にも間合いや手の内、構えについても書かれています。

・五輪の書の考察

宮本武蔵の五輪の書について書かれています。

おわりに


さすがに範士九段と思われる深い知識と研究の内容が詰め込まれております。

私ごときでは理解できないものも多くあるのですが、もしも、本当にこの「自然打法」ができるようになるのであれば、剣道に幅も広がり歳をとっても筋力などの衰えなど関係なく、心理的にも身体的にも向上できるかと思います。

奥深い剣道の世界に浸れる一冊です。

おわりに森田先生の一句

打つ太刀の手と足と腰一拍子、呼吸あいてぞ心かがやく。

ではまた!

 

私もこちらでミツボシの小手「道」と「虎」を購入し愛用しています
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