皆さんこんばんは。一の太刀でございます。
本日は久しぶりに技の研究記事です。
私が現在最も注力している「小手返し(押さえ・抜き)面」です。
模倣としている西東京の神崎選手や、他にも警視庁の竹ノ内選手などが得意としているこの「小手返し面」
私もなんとかそれを自分のものとしたく、10年近く研究してきました。
しかし、どうしてもうまくいかず半ばあきらめていた時期もあります。とてもツラい…
その後、紆余曲折を経て少しずつ試合で決める回数が増えてきました。
私が悩んだポイントとそれを解消するために実践しているものなどのこの技を修練した経緯を書いていきたいと思います。
なお、この記事の前半はこれまでの「経緯」が多いため読むのが面倒な場合は「目次」から
1.2「小手」への「誘い」
そして
3「小手返し面」2018
以降を読んでいただければ内容は分かるかと思います。
神崎選手の「小手返し面」 妹尾選手の「くの字」防御
極論、「三ヶ所避けに近いようにすることで「小手」を完全防御そこから「面」を打つ」
剣道を再開した初期にイメージしていたのはこの様なものでした。
しかし、当然そんなものでは「まぐれ」でも一本となりません。
数年後、模倣となる神崎選手の「小手返し面」をみて、どうにかこの技を自得できないものかと見取り稽古に励みます。
■神崎選手についての記事
「くの字」防御と「拳の位置」
まず自分との違いを見つけたのは神崎選手は手元を上げて竹刀で打突を防ぐ際、右拳が自身の顔より左側にあることです。
相手から見ると顔の右側に小手があるので打ちにくいというメリットもあるかもしれません。
しかし、当時私は右拳・左拳の間に自分の顔がありました。
これではただ「万歳」しているのと同じポーズとなってしまいます。
見た目、印象も悪く、一連の技とはかけ離れたもの。
しかし、これが長年どうしてもうまくいきませんでした。
「腕の短い」私が右拳を顔の左側に位置付けるのは試合時のとっさの動きでそこにもっていくには少々無理な気がしました。
その後に今宿少年剣道部の山内先生のインタビューにある「くの字」防御を知ることで少々改善することができました。
■「くの字」防御についての記事はこちら
「小手」への「誘い」
そして、どうにかその一連の「小手返し面」の形として、それなりのフォームを身につけることはできました。
次は「どうやって相手に「小手」を打ってもらうか」です。
相手に「打突準備」がありそうな時などに
・一瞬竹刀を下げてから相手「眉間」もしくは「左目」
・じりじりと間合いを詰めながら竹刀を同じく相手「眉間」
・相手竹刀を押さえるそぶりをしてからスッと前に詰める
これらの作業から比較的「小手」を打ってくれる場合が多い様に感じます。
ただ、これだけでは試合で一本を取ることは、いや、稽古でも決めることはまるでできません。
簡単に相手に「防御」されたり、「避けられて」しまうのです。
竹ノ内選手の「小手返し面」
なぜだ!?
神崎選手はこれで決めまくっている。何が違うのか?
狙い通りに「小手」を誘い、素早く「面」を打っている
それでも決まりません。
もう無理(涙)…
そんな状況からひとつの光明が見えたのは現・警視庁の竹ノ内選手の「小手返し面」を知ることででした。
竹ノ内選手は「小手」をあえて打たせて「巻き返し」、そこで相手の竹刀をロックして残心をうまくとらせず、さらには「防御」させず、がら空きの「面」を打つといった正に「肉を切らせて骨を断つ」ような技を使っています。
その「あえて打たせる」という度胸
そして「巻き返して打つ」といったことに私は驚きました。
「巻き返し」て打つ
あえて「小手」を打たせるということはまだ覚悟ができませんでした。
しかし、巻き返して「裏面」を打つことで相手が自分の左側に打突後に向かってきた場合、または防御が「表」のみの場合には決めることができる。
こうして試合でも定期的に一本を決めることができるようになってきました。
以前書きました「小手返し面」の記事のものがそれとなります。
■「小手返し面」の記事
ようやく、「技」としてそれなりのものになり得た。
ただ、そう多くは決められず、「防御意識」の高い方々には、なかなかこれだけでは一本を取ることができません。
「小手返し面」2018
いまだに自身の中で疑問符がつくところがありました。
「巻き返さない」通常の返して素早く「面」を打つ「小手返し面」ではまるで決まらないということです。
これが「決め技」となり得れば、その状況になる機会の多さからいっても相当な武器となるはずです。
しかし、これが決まらない。
相手が「小手」を打ってきた際に竹刀を開いて「表鎬」辺りで「返し」ます。
すると、どうしても相手が竹刀で防御態勢に入る方が速く、なかなか相手の「面」を捕らえることができません。
理屈としては当たり前ですよね。
「小手」を返したときにこちらの竹刀が「下」にあり、相手の竹刀の方が「相手の面」に近いので相手の防御の方が当然速い訳です。
次の画像のようなシーンがどれほど多いことか。
この状況で「返し面」が決められなければ「一本を取る技」としては難しい!
せっかく狙い通りに相手が「小手」を打ってくれて、こちらが狙い通り素早く「面」を打ってもこれではそう多くは決まるはずもありません。
どうすべきなのか。
「小手返し」を「小手押さえ(抜き)」のように
今年、5月にあった地域対抗戦以降、思案して取り急ぎの「結論」をだしました。
相手の「小手」を外し、こちらの竹刀で「上」から相手の竹刀を「押さえて」防御を無力化してしまう
「小手への誘い」は上記と変わりません。
初期段階としては「くの字」防御ではなく、比較的真っ直ぐに竹刀を伸ばして剣先を相手の「眉間」あたりにつけるように誘った方が良いかもしれません。
1.そこで相手が「小手」
2.くるかなと思った瞬間から「くの字」防御へ変化
3.すると相手の「小手」は空を切ります
4.空を切った瞬間に「くの字」となったこちらの竹刀が相手の竹刀より上になります
これで相手の防御を無力化させることに成功
5.そこから素早く「面」
6.こちらの竹刀の方が相手の「面」に近いので素早く打てば必ずこちらの「面打ち」が相手の「防御」より速く決まる
といったところです。
理屈としてはおそらく完璧です(笑)「言うは易し、行うは難し」ですが。
繰り返しとなりますが
相手が「小手」を打った瞬間にこちらの竹刀が相手の「面」に近いところにあればよい訳です。
参考画像① 試合で決めたシーン
2018年10月の加盟区大会個人戦決勝での一本目に決めたシーンです。
参考画像② 稽古での別状況でのシーン
まとめ
夏ごろからこの理屈で修練し、身近な実力者の方々にも稽古でそれなりに決めることができるようになりました。
先ほどの加盟区の大会では3本程、この理屈で「面」を決めることができました。
注意点もあります。
稽古では相手から「小手」を打ってくるであろう瞬間に「予測」や「感覚」でこの技が成立することもありますが
これは基本的に「自分から仕掛けて「小手」を誘う」という技です。
そして、相手が攻めてきてこちらが防御態勢に入り、「横から小手」を打たれつつその竹刀を押さえて「返し面」を打つ技はまた別のもの。
現在この状況でも相手の「面」を結構な確率で打てはします。
しかし、相手のその後の残心の取り方によっては「面」に当たらず完全に相手の「小手」ありとなる場合もあります。
さらには竹ノ内選手のように試合で一本を取れるという自信もまだありません。
できれば今回の記事と同様に相手の「横から小手」を外しつつ、「面」にいける「なにか」を思案したいところです。
■竹ノ内選手の記事はこちら
伝統的な「小手返し面」とは違うかと思います。また、もはや「返し面」といえる技ではありません。
本式の技で一本とすることができない自分の技量のなさがうらめしいくらいです。
まだまだこれからの技かとも思いますから、より洗練されたものとし、誰が見ても一本であると思われるものとすべく、これからさらに練り上げていきたい思いです。
またなにか気付きがあれば記事にさせていただきます!
ではまた!
コメント
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。
たぶん、手首の柔軟性と強さを兼ね備えた人なら、最初のコテ返し面でも相手の竹刀でのディフェンスよりも打突できると思います。小中学生でときどきこれで決まってますね。高校生以上になると、竹刀での防御能力と身体の寄せスピードが高いので厳しいですね。
ギリギリ言うと、小手抜き面ですか?
くの字の防御からのバリエーションが多数あるのは、防具下手の私からすると羨ましいです。私はアタマ捻ったり、体捌きで避けたくなって、結果打たれるを繰り返しです。
ライトニングさん
こんばんは。コメントありがとうございます!
そう、小手抜き面となりますかね!
竹刀での防御能力と身体の寄せスピードが高い…まさにその通りですね。
「体で捌く」ことは王道な気がします!私はまるで動けずそのようにはできません…
またいつでもコメントください。
よろしくお願いします!