皆さんこんばんは。一の太刀でございます。
もうすっかりイチョウの葉も色づいてきましたね。紅葉と合わせて街を歩くにこの季節の楽しみであります。
では剣道のお話です。本日は「下から攻める」です。
久々の技術ネタ。
ただし、常におこなうものではない一つの手段としてご認識ください。
攻めのパターンの一つとしてよく一度剣先を「瞬間的に」下げてから小手、面、突きへ行くという方法があります。
私が参考にしているお方も多用しますし、全国レベルの大会でもよく見かけるものであり、私も実践しています。
「防御」を意識し、四戒の「驚」と「惑」を誘え
この攻め方、いくつかのメリットを感じております。それを活かすことで剣道の幅が広がるのではないかと考えます。
「防御」の意識
もともと「下段の構え」は防御を重視したものであります。
相手が面でも小手でも打ってきた時、手元が上がることがあまりなく、相手の喉元に剣先をつけて押さえやすいというメリットもあります。防御する上でたしかに良い構えと感じます。
その様な構えにまでせずとも、剣先を相手の胸元あたりに付ける程度の構えであれば攻守に力を発揮しやすいものとなります。
しかし、下段から振り上げるにはそれだけで時間がかかるというデメリットもあります。
「攻撃」では何をしてくるか読まれにくい
中段の構えから一度剣先を下げながら打突すると相手は小手、面、突きのどれにくるか読みにくく、「驚」や「惑」を引き起こしやすくなります。剣道ではその一瞬の驚きや戸惑いが大きなポイントとなりますよね。
また、単純に「いくぞ、いくぞ」と意識させた瞬間にパッと足幅を開き、踏ん張るようにして上体と合わせて剣先も下げると、相手は「アッ、くるか」と手元を上げて防御にはいることも多々あります。「小手」もしくは「突き」が有効になるタイミングとなりますでしょうか。
小手打ちでは
小手の場合は過去記事にこのままの小手を掲載しております。「下からの小手」で打突できます。
・過去記事「出小手」
面打ちでは
面の場合はこの「下からの小手」を意識させてから下から「同様の軌道」で打つと、相手の反応が遅れることがあります。判断を狂わせることも可能かと思います。
こちらの参考画像をどうぞ。
事前に同様の下からの小手できわどい打突をした後でした。それにより相手の判断が狂いました。
突きでは
突きの場合は相手の反応次第で「表から」「裏から」どちらにもいけるものかと思います。とは言え私は突きをほとんど打ちません。
唯一残っている画像を掲載してみます。こんなんで本当にすみません(泣)
基本的に次にご紹介する距離を取る下からの面打ちの画像と同様の踏み込みと振り上げになります。
このシーンでは相手が下がらず、手元もなかなか上げない方だったのでこの一足一刀の間合いから一気に下段に落としてから突きにいきました。
「剣先を下げ、振り上げる」この二つの動作があるために「遠間から」の打突が可能になる
通常、振り上げて打突するまでに一足一刀の間合いからですと、距離があるために「踏み込み」の方が「腕の振り」よりも時間がかかってしまいます。
そこで
・一つ「剣先を下げる」という動作を入れることで「踏み込み」との時間を合わせる
・「左足への重心の乗せ」「竹刀を引き上げる」と「右足を前へ伸ばす」動作がうまくリンクしてくれて距離をだすことができる
これにより剣先を一度下げながら踏み込みを始動することで「腕の振りと踏み込みの時間」が、遠間や一足一刀の間合いからの打突と合わせやすく距離を伸ばして踏み込むことができます。
面打ちにはこの剣先を下げる瞬間を左足に重心を乗せ、上体が前方へ推進し始めて剣先を上に引っ張り上げる力が合わせて上体を前に推進させる力を高めてくれます。それにより通常よりもさらに距離をとった打突が可能となります。
特に、突きは面よりも気持ち手前での打突ですので、継ぎ足なしでまさに「遠間から」の打突も可能かと思います。
参考画像です。こちらも半分切れててすみません。
恐らくもう少し距離を伸ばすこともできるかと思います。
おわりに 昭和の剣豪:中野八十二範士九段のお話
繰り返しになりますが、剣先を下げるということは、あくまでも攻めや中心の取り合いの中のバリエーションの一つということを意識していただけると幸いです。
剣聖:持田盛二先生の義理の息子でもある中野八十二先生のお話では剣先を下げて攻めると相手はさらに下へ、それを見て中野先生はもっと下にして打突、一本を取ったお話が余談として残っています。
昔からある有効な攻めであることは間違いないでしょう。
ではまた!
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