皆さんおはようございます。一の太刀でございます。
年が明けてもう2月!あっという間に1月が過ぎ去ってしまいました。私の剣道ライフは現在まったく充実しておりません。稽古ができない週もでてきておりフラストレーションがたまりつつ…
では本題の剣道のお話です。本日は「剣道の基本について」です。
「基本」を身に着ける「難しさ」
私は中学生の頃、道場内だけでなく初めて市内の様々な方々の剣道を見て驚いた記憶があります。
こんな「ぐちゃぐちゃ」な剣道でも試合に強いやつがいるんだなと。
もともと運動神経が良いのでしょう。打突フォームはヒドイのですが、「速い」面打ちができるので、それなりに勝てる方々がいました。
私の育った関東の某市は、さほどレベルの高い地域ではありませんから、「速い」面打ちができることで「強い人」認定されて、市内でも上位の中学校として名を知られる存在になっていました。
狭い地域での話ですので、たいした話ではないのですが、当時の私としてはそんな彼らのことをうらやましさと、負けたくないという気持ちでいっぱいでした。
しかし当然その方々が一定のレベルで越えられない壁にぶち当たることは容易に想像できます。彼らは高校剣道ではもう姿が見えず、その存在はいつしか忘れてしまうこととなりました。
「基本」ができていなければ、結局、あるところから先に進めず、技術向上が望めなくなってしまいます。
中学時代の話なので、基礎ができておらずしっかりした面打ちをできる子が少ないのも当然ではありますが、実は剣道を再開し、十数年たち40歳を越えた今となって、自身ができるできないはさておき、
ようやくどのような打突フォームが良いのかがわかるようになり、その視点で見ていますと、基本ができている人が意外にも少ないことに驚きを覚えます。
まあ、私も基本が完ぺきだなんてとてもとても言えませんが…
それだけ難しい剣道の「基本や打突フォーム」ですが、わかりやすく、また深いところまで書かれた本を世にだしてくださった範士八段がおります。
「剣道は基本だ!」つねに見直すべき剣道の鉄則10項目 【角正武範士八段】
基本とはどんなものでも一番の大事かと思います。剣道も例外ではありません。
大人でも、基本的な「一足一刀の間合いから面打ち」ができるというだけで大きな武器となりえています。
剣道の基本が難しく、その基本的打突でさえもしっかりと打てる方が意外にも少ない現実が、試合などではより「実力の差」として出てくるのではないでしょうか。
それは基本がゆえに単純で無駄がなく相手にとって驚異的な打突になるものであるからと考えます。
私の場合も、どうしても「一足一刀の間合いからの面打ちができない」という決定的な基礎不足が約十年間ついてまわっておりました。
「足の踏み込み」が悪く、「竹刀の振り」も悪い。それがなかなか治りません。
「頭でわかっていてもその通りに体が動かない」その様な中、福岡教育大剣道部師範の角正武範士八段の著書に出会いました。
比較的近年発行の本ですのでありがたいことにDVDでの動画解説もついています。
はじめに
対人的な技術の基本から応用へのつながりがよく理解できていないということです。(中略)常に基本に立ち返り、基本から応用へのつながりを振り返ることが、上達につながる近道なのです。
剣道は基本だ! 引用
角先生はただの基本的打ち方だけではなく、対人的な技の基本とその重要性を説かれています。
ただの「形」としての基本ではなく、相手があっての「基本」とはなにか。そのあたりの内容に注目です。
第1章「小手技」の基本
本書では、すべてに共通する「腰の入った打突」への近道ともいえる小手技から解説を始める。
剣道は基本だ! 引用
少し驚いたのがまず「面技」から入ると思いきや、「小手技」からの指導となります。「腰の入った打突」をするにはまず小手技から習得したほうが解りやすいと説いております。たしかに、面打ちは難しく、小手打ちの方がより理解しやすいかもしれません。
また、角先生は刃筋のお話をされています。
「面と同じ太刀筋で振り下ろすことが本来の基本である」と。そして、角先生は肘・肩をしっかり使った振り上げをしなさいよと言っています。
面打ちは肩を使った振り上げでないと「顎」が上がりやすくなり、より気配もでてしまうので、私は大いに共感しております。
私はこの章で角先生が言っておられる「面打ち」についての言葉がとても深く残っております。
面を打っていくには小手を打たれるかもしれないというリスクを背負うものです。それを気で殺し、リスクをゼロに近づけて打つのが剣道であり、リスクを避けて技を使うのは、筋の通った王者の剣道とはいえないのです。
剣道は基本だ! 引用
面を打つ前の「気」の部分の重要性を語られておりますね。
「気で相手を圧倒する」
かっこよすぎます。ある一つの目標地点となるかと思います。
第2章「面技」の基本
やはり理想とされるのは、中心を真っ向から割るような腰の入った重厚な面。打突は「基本」の動作に近いほど華がある。
剣道は基本だ! 引用
ようやく面技に入りますが、印象深いのは面を打った後、走り抜けないようにご指導されていることです。
頭から飛び込むような面打ちが走り抜けやすくなるので、腰の入った面打ちをするための術として、切り返しでも面を打った後は体当たりで終えるようにしているようです。
また、「振り上げ」も小手と同様に、手首のスナップを利かせるのではなく、「肩を中心とした円運動を基本」として説かれています。
この考えに私も共感しており、それが顎を上がらなくする術にもつながると考えています。
第3章「胴技」の基本
先人は多種多様の胴の決め方を伝え残してきた。
剣道は基本だ! 引用
面返し胴から始まり、様々な胴技の解説があります。
何度も説かれていますが、刃筋の通った打ち方の重要性を理解できるものとなっています。
第4章「突き技」の基本
その基本動作と繰り出す機会、また、効果的な練習法を学ぶ。
剣道は基本だ! 引用
私は突きが苦手であります。
特に過去に上段の選手相手に突きを繰り出し、引かれて外されてそのまま面を打たれて一本取られるというケースを何度か味わっています。
この章をもっと早く読み理解していれば、そのようなことにはならなかったでしょう。
第5章「足さばき」の基本
目まぐるしく移り変わる攻防の中、鋭い攻め、正しい打突を的確に生み出すには、自在な足さばきが欠かせない。
剣道は基本だ! 引用
面白いのが「重心のかけ方」を教えてくださっているところです。なかなかそのような書はありませんよね。体重を前がかりにする場合のリスクも説いております。
全ての基本となる足さばきの対人的な技術がわかるものです。
第6章「間合」の基本
言葉をかえれば、攻め、打突、呼吸、拍子といったそれぞれのパーツをつなぎ止めるためのもの、あるいはその潤滑油といったものが「間」や「間合」であるともいえるかも知れない。
剣道は基本だ! 引用
このあたりから、角先生のこの書における真骨頂と言うべき重要な項目が出てまいります。
よくいわれる「三つの間合」は「遠間」「一足一刀の間」「近間」であるけれども、昔の書を読むと今とは違った感覚で間合いの説明をされていること教えてくれます。
自身の打ち間はどこなのか、どこから打てば有効となるのか。その考えさせてくれる項目です。
「間合い」についての過去記事もよろしければご覧ください。
第7章「攻めと崩し」の基本
ほんのわずかな相手の隙を、どうとらえるかが剣道の妙味である。
剣道は基本だ! 引用
私はこの書を手に取った当時、「攻め」の「せ」の字もわかっていませんでした。もちろん現在でも模索し続けています。
攻めについても色々考えていた当時、本当に良いタイミングでこの書に出会いました。
角先生のおかげで、当時よりはだいぶ「まし」な剣道になったと思っています。
「攻め」ないと試合でも勝てないと、近年ようやく理解しました。
そのおかげで書けた過去記事もどうぞ!
第8章「相手を動かす」基本
崩す、誘う、引き出すなど能動的な仕掛けによって相手の動きに変化が起き、その変化の隙をとらえ、打突を決める。
剣道は基本だ! 引用
第7章に続き、「攻め」の内容となっています。
この章は私としては本当に面白いと思っています!!
「誘って引き出す」「仕掛けて崩す」など、その基本を理解し、応用するにわかりやすいものとなっています。
「主導権を握る」
私はそう理解し実践していこうと考えています。
第9章「気合と呼吸」の基本
「気合」は自身の内面から湧き出てくるものだろうが、実体がないだけにその磨き方はつかみにくい。
剣道は基本だ! 引用
皆さんの中には、「呼吸」とか「気合」「下っ腹に力を入れる」などあまり「関係ない」と思われている方、おりませんでしょうか。
私はこれができなかったおかげで、逆にわかりやすかったのかもしれません。とても効果を感じることができました。
腹に力が入っていないと稽古の疲労度が違います。
私の場合は掛かり稽古でその効果を感じることができました。こういう効果があるものなんだと。
それにしても「基本」を謳った本であるにもかかわらず、「気合・呼吸」といったところまでの解説があることにとても満足します。
第10章「稽古」の基本
実践のしかたや技術的な目の向け方に誤りがあれば、強くなるどころか悪癖を身に着けてしまう可能性もある。
稽古そのものの役割を正しく把握することは絶対的な条件。
剣道は基本だ! 引用
この章では、稽古における「心持ち」や指導者のとるべき「方向性」などがでています。
また、一人稽古の説明もあるのですが、その際にオススメしてくださっている素振りの「右足指導の素振り」が前回過去記事でご紹介した森田文十郎範士八段の「一拍子の打ち」そっくりなのです。
そのあたりを角先生から聞いてみたいものです。
また「一人稽古」に対する私のオススメ記事はこちら
おわりに(感想)
「基本」の書物ですが、打ち方だけでなく、心理面など、他ではあまり見られないようなところまで角先生は細かくその「基本」を教えてくれます。
私は購入してもうすでに4~5年は経過しているのですが、今でも読み返し、見つめ直すことがあるほど、この本にありがたさを感じております。
角先生は外国の方々にもよく指導されておられるようです。とてもグローバルな方であります。
記憶違いならすみません。
以前、雑誌記事で読んだのですが、角先生はたしか故・千葉仁先生と京都大会かどこかで対戦し、相手の片手小手にピクリともしませんでした。打突部位に当たってはいるのですけれども、角先生の「心」はまったく動いておりませんでした。
その立ち合いの奥深さを、その記事では説明しておりました。剣道の醍醐味がそこにはあるのかなと思います。
ではまた!
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