2018年3月 追記しました。
皆さんこんばんは。一の太刀です。
本日も剣道家としてはとても気になるニュースになります。
先日、大分地裁による判決が下された事件のことです。
とても悲しい出来事が2009年の夏に起こりました。
体罰による業務上過失致死罪などの刑事事件にならなかった件
事件のあらましですが、この日、剣道部員の工藤さんに特に多く「打ち込み稽古」をさせられ、熱射病の症状が出た後に倒れたにもかかわらず、すぐ救急車を呼ばれることもなくその後も元顧問に蹴る殴るを繰り返され、息を引き取ったのことです。
また、運送先病院の医師も運送後2時間以上も必要な「冷却処置」をしなかったとのこと。
これにより、2013年3月に大分地裁は県などに約4656万円の支払いを命じていました。
しかし、この事件、顧問の業務上過失致死罪などの罪にはならなかったそうです。
なぜ!?
2016年12月22日 元顧問に「重過失あり」の判決
大分県立竹田高の剣道部で2009年に稽古中に熱射病で倒れて死亡した工藤剣太さん(当時17歳)のご両親が、大分県に対して当時の顧問と副顧問の教諭2名に賠償責任を負わせるよう求めた訴訟の判決が大分地裁でありました。
元顧問に「重過失あり」として、大分県が元顧問に100万円を請求するように判決がでたとのことです。
一般的には、体罰による業務上過失致死罪など、刑事事件にならなかった部活動の指導で、「教諭の賠償責任が認められる」のは異例だそうです。
8月の熱い夏の日、元顧問は工藤さんに打ち込み稽古をさせ続け熱射病の症状が出たにもかかわらず変わらずしごきつづけたとのこと。
工藤さんは「もう無理です」と言いながら、竹刀を落としても気付かないまま構えのしぐさを続けたようです。これは熱射病の意識障害の一部とのこと。
元顧問は工藤さんが倒れても腹を蹴り、再び倒れると体の上にまたがり、「演技じゃろうが」と言いながら平手打ち。このようなことが判断つかないのでしょうか。
元顧問は「気持ちを奮い立たせるためだった」と主張しているようです。
父親の英士さん(51)は記者会見で「一矢報いることができ、やっと剣太に顔向けができる。今後、部活動で教師の指導による事故が減ると思う」と語った。
県教育委員会の工藤利明教育長は「重い判決と受け止めている。今後の対応は判決の内容を十分検討して考えたい」としている。
=2016/12/23付 西日本新聞朝刊= 引用
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う~ん、これだけの事件を起こしてこの元顧問は100万円の支払いで終了。
しかも、「体罰による業務上過失致死罪など、刑事事件にならなかった部活動の指導で、教諭の賠償責任が認められるのは異例」とのこと。
そんなことってありなんでしょうか。
「熱射病による意識障害の症状が出ているにもかかわらず適切な処置ができず、かつ上体を悪化させる不適切行為による重過失」ということは業務上過失致死罪にはならないのでしょうか。
専門家ではないのでよくわかりませんが、個人としての感想としては
完全に「こんな程度の結果はおかしい!」です。
「体罰」ではなく、「暴力」
この元顧問が行った行為は「体罰」ではなくてただの「暴力」だったのではないでしょうか。
おそらくは日ごろから似たような行為をしていたと、容易に推測できます。
真偽はわかりませんが、ネット上ではこの元顧問の名前も挙がっていますね。
はき違えている指導者が大勢いる現状に腹立たしく感じます。
私としては、かつては「体罰」がしっかり良い意味でと根付いていた時代もあったのではないかと考えます。
しかし、どこかで歪み、指導者の勝手な都合で行う「暴力」をそれと勘違いする輩が増えてしまったのではないでしょうか。昭和初期か、戦後なのかはわかりませんが…
良き指導者であれば厳しい稽古を課しても、生徒は付いていくものではないでしょうか。
「信頼関係」が大事になってくるのかと思います。
そこに「暴力」は関係あるのでしょうか。
二度と起きないように
大好きだったであろう剣道で理不尽な指導を受け命を落とすなんて、とても悲しいことです。
皆がこの事件を記憶し、二度と起こることのないよう強く望みます。
ご両親のお気持ちをお察しするに、さぞ無念だったかと思います。
心からお悔やみ申し上げますとともに、御霊のご平安をお祈りいたします。
【追記】2017年2月 県は控訴
続きます。
一審地裁判決では、県に、求償権を行使して元顧問に100万円の支払いを請求するよう命じていましたが、県は「部活動に携わる教員に大きな影響がある」などとして福岡高裁に控訴しているとのこと。
ご両親は控訴取り下げを求める署名活動を続けているようです。
【追記】2017年10月 県の控訴 棄却
10月2日(月)に福岡高裁は一審・大分地裁の判決を指示し、県の控訴を棄却しました。
「生徒の生命、身体に対する安全確保をおろそかにし、危険にさらした」と指摘し、元顧問に「重過失」があったとしました。
県側は県教育委員会で最高裁に上告するか協議する方針とのことです。
【追記】2017年10月 最高裁に上告せず
10月10日に行われた大分県教育委員会は最高裁に上告しないことを決めたとのことです。
工藤利明県教育長は会議終了後、「判決を重く受け止める。適切な指導を徹底する」とコメントした。
母親の奈美さん(48)は「やっと安心した。子どもたちのことを一番に考えてくれるよう学校の対応を改善してほしい」と話した。
大分合同新聞 引用
16日までに双方が上告しなければ確定するとのことです。
【追記】2018年3月 最高検に再捜査の不服申し立て
3月16日にご両親が最高検に再捜査するように申し入れたとのことです。
福岡地検は再捜査を受け入れず、この度、最高検へ不服申し立てをしたようです。
これは現場の公務員(元顧問ら)個人に対する刑事責任を求めるもの。
【追記】2018年7月 不服申し立て認められず
7月21日までに最高検は処理は適正だったと判断し、両親の再捜査を求めた不服申し立てを認めない決定をしました。
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